知っているようで知らないVPNの仕組みから、VPNアプリの必要性、「無料のVPNアプリは危険で使うべきでない」理由までわかりやすく徹底的にご説明します。
なぜVPNアプリの宣伝が多いのか?~安易に信じてはいけない
VPNは魔法のセキュリティアプリなのか?
スマホにはしばしば「安全のために無料で利用できるVPN接続サービス」の宣伝が表示されます。
そこには、
- あなたの身元情報は保護無しではオンラインで簡単に盗まれる可能性があります。VPNはそれが発生するのを効果的に防ぐことができます。
- 最高のアンチウイルスVPNをインストールして個人情報がハッカーにさらされるのを防ぎます
- オンラインにするとハッキング詐欺などのリスクにさらされます。VPNがこれらの攻撃からユーザーを保護します
- ハッカーの露出を防ぐために最高のウイルス対策VPNをインストールします
- ハッカーの被害を防ぐために、最高のウイルス対策のためにVPNアプリをおすすめします」
といった「VPNアプリを入れれば安全が高まる」とのメッセージや宣伝が書かれています。
だまされないで!今のスマホにはVPNアプリはほとんど必要ない
しかし、結論をお伝えすると、
- VPNは確かに安全な通信のための技術だが、現在の通常のネット使用では必要ではない。
- VPNは通信の技術であり、ウイルスを防いだり駆除するセキュリティ対策には使えない。
- VPNアプリには、広告費目当て、個人情報収集のためのあやしいものもあり、無料で信頼性のないVPNは使わない方が良い
のが現実です。
特にiPhoneは構造上セキュリティアプリがインストールできないため、「VPNを売りつけようとする業者やアフィリエーターの誇大広告・不正な宣伝」が目立っています。
正しい知識を元に必要なアプリを入れるのはかまいませんが、広告代目当てのデタラメな宣伝を信じて、不要なアプリ/不審なアプリを入れてしまうことは絶対に避けるべきです。
以下、その理由を詳しくご説明します。
VPNアプリとは何か?
VPNとはネットの中に安全な通信回線をつくる技術のこと
インターネットは誰でもアクセスできる自由な空間なので、他人に見られたくない情報をやりとりはなかなか難しい世界です。
そこでやりとりを他人に見られないようにするため、
「データを暗号に置き換えて他人に見えない形にして送る」
などの「暗号にして隠す技術(暗号化・秘匿化技術)」が発展しました。
VPNはこれらの技術を組み合わせて、インターネットの中に「決まった相手との間しか使えない、他人が入ってこられない回線を技術的に作ってしまう」技術のことです。
VPNとはVirtual Private Network(バーチャル プライベート ネットワーク)の頭文字で、
- Virtual・・本物ではないがそれらしく見える=仮想
- Private・・私用の、内密の
- Network・・回線
つまり、VPNとは「仮想の私用の専用回線」のことです。
あたかも「本来は存在しない自分専用の回線」を作る技術のため、「Virtual=仮想の回線」と呼ばれました。
なお、VPNのことを、略称で「トンネル」とか「トンネリング」と呼びます。
上の図のように「ネットの中に自分だけが通行できるトンネルを掘って、悪者に盗み見されずに安全にデータをやりとりする」というイメージがVPNの説明にぴったりだからです。
皆さんがVPNを理解するときも、「トンネル」を意識するとわかりやすいと思います。
このようなVPN技術をスマホ上で利用するため、VPNアプリが生まれました。
VPNには主に3つの使い方がある
さてVPNの技術は使い方によっていろいろな用途に使用できるため、VPNという用語を混乱して使ってしまいがちです。
難しい技術的な区別は置いといて、個人がVPNを利用する場合を、やさしく説明すると、以下の3つの使い方が可能です。
使い方1:テレワークの時、自宅と会社を安全につなぐため会社設置のVPNを使う
VPNのもっとも基本的な使い方です。
コロナ禍で自宅でテレワークする機会が増えました。
そこで会社から支給されたVPNの接続方法にしたがって、IDやパスワードを入れることで、ご自宅や出先から、会社と安全にデータのやりとりを実現している方も多いと思います。
この場合は、会社が自社内にVPN接続に必要な機器やサービスを設置して、会社と社員間の安全なVPN接続を実現しています。
したがって本日のテーマである「個人のスマホにVPNアプリを入れる必要性」についてはとりあえず関係ありません。
使い方2:安全にネットに使うため、VPN接続業者経由でVPNを使う
個人にもっとも関係するのは、「街中の無料Wifiに安全につなぐ」ためにVPNを使うケースです。
無料でパスワードもないWifiは、誰でも手軽に使えますが、その電波は誰でも受信できるため、同じ電波を受けている盗み見される可能性があります。
また、最初から「盗み見することを狙った」不正目的の無料アクセスポイントも存在していて、わざとスタバやマクドナルドのwifiに似せた不正wifi電波を流し、うっかりアクセスしてきた他人の情報を盗み取ることは、意外に広く行われる犯罪行為です。
これらの危険を避けるため、VPNが使えます。
個人がこのためにVPNを使う時は、VPN接続業者が用意したVPNサービスに加入して、VPNアプリを使ってVPNを利用することが一般的です。
使い方3:自分の身元を隠してネットをするため、VPN接続業者経由でVPNを使う
VPN接続業者を使って接続すると、間にVPN接続業者が入ることで、接続元の元々の情報がVPN接続業者のものに置き換わってしまうため、ネット上で自分の身元~どこから、どのパソコンやスマホから~を隠すことができます。
VPNを使うと、どこからアクセスしているか?は相手に伝わらず、広告のため収集される行動追跡からも逃れることができます。
また、身元を隠すVPNの利用方法として多いのが、「地域限定コンテンツの視聴のため」です。
日本から見ることが禁止されている特定の地域・国限定のコンテンツを見たいとき、視聴が許されている国のVPN業者のサーバー経由で接続すると、VPN業者のサーバーの設置場所からのアクセスと偽装でき視聴ができてしまいます。
また海外のECサイトで買い物する際に「外国人レート」を避けて現地価格で買い物することにも使えます。
VPN業者はこうした需要に応えるため、世界各国に多数のサーバーを置いています。
さらに、世界には、ネットの自由な使用に制限を加えている国(中国、ロシア、イランなど)があります。
例えば中国ではグレート・ファイアウォールというネット検閲があり、FacebookやLINE、一部の検索が使えません。
このような国家による検閲を逃れるためにも、使い方2.と3.の機能により、VPNやVPNアプリが広く使われています。
玉石混合のVPN接続業者の選択は慎重に
日本で私たちがプライベートにネットを楽しむにはVPNは必要ありませんが、世界ではいろいろな事情によりVPNが必須なところもあります。
また業務上、特に厳しい秘密保持が必要なこともあります。
そこで、「ネットを安全に、身元を隠して、どこからでも自由にネットを使う」ために、VPN接続には大きな需要があり、VPNサービスや自社のVPNを使うためのVPNアプリを提供するVPN接続業者が多数営業しています。
VPN接続業者は、世界各地に自前でVPN接続のためのサーバーを作り、簡単にVPN接続するためのVPNアプリやツールを開発して、激しく競争しています。
しかし中には十分な資金や技術力がないにも関わらず、有望な市場のVPNに参入し、VPNを名目に怪しいサービスを提供する業者も目立ちますので、選択には十分な注意が必要です。
個人が使うVPNの使用目的は2つになる
以上でご説明した通り、個人が使うVPNには3通りの使い方がありますが、「使い方1.の会社とのやりとり」は、会社指定の方法にしたがうだけですので、ここでは触れません。
普通個人が使うのは、「使い方2.安全にネットを使う」か「使い方3.自分の身元を隠してネットを使う」ためとなり、ともにスマホの場合はVPNアプリをインストールして、VPN接続業者のサービスを利用して使うことになります。
「使い方3.自分の身元を隠してネットを使う」ためには?
まず、「海外だけで視聴できるネットTVやストリーミングサービスを見たい」ための「使い方3.自分の身元を隠してネットを使う」を実現するためには、必ずVPNを使うしかありません。
上の図で説明したとおり、アメリカだけで配信されている動画を見たいなら、アメリカにサーバーを設置しているVPN接続業者と契約し、自分のスマホにVPN接続アプリを入れて、使いたいときに接続します。
以下は全世界でサービスを提供している大手のVPN接続業者「Surfshark」のVPNアプリの画面です。
接続先をSurfsharkが全世界各地に設置したサーバーから選択でき、ワンタッチで接続でます。
今回は、ネットを使っているとしばしば出くわす「安全なネット利用のためにVPNアプリを使いましょう」の意味を知ることが目的です。
スマホ利用で本当に必要なのか?次項でしっかりと確認しましょう。
スマホのVPNアプリの使い道は?
街中のwifiにつなぐと危険は本当か?
スターバックスで無料で利用できるFree Wifiに接続すると、最初に下のような注意書きが表示され、同意すると使えます。
これはスターバックス以外の、マクドナルドやセブンイレブンなど多くの飲食店やショップで提供される無料のWifiも同様です。
Wifiは、本来は、ご自宅での使用と同じように、「Wifiの名前であるSSID」と、「暗号化の鍵であるパスワード」の両方を使って暗号化して、パスワードを知らないと使えないように設定すべきです。
しかし、不特定多数の人が使う公衆Wifiでは、利用者の便利さを優先し、WifiのSSID(スターバックスの場合はat_STARBUCKS_Wi2)を選択するだけで、Wifiが開始できるようになっていて、パスワードで暗号化されていません。
暗号化されていないWifiは誰でも受信可能であり、少し知識があれば追伸のやりとりを盗み見ることは可能です。
さらに、街中には、盗み見ることだけを目的とした不正な無料Wifiも多数存在していると言われます。
うっかり不正なWifiにつなげてしまうと、情報をそっくり取られてしまうのでしょうか?
現在ではほとんどのサイトがhttps化されているため情報漏えいの可能性は少ない
たしかに、一昔前は、Wifiに入ることができれば、Wifi上で流れている、暗号化されていないデータ(平文といいます)を読み取ることができましたので、データの中からパスワードなどの秘密情報を取得できました。
ところが、今では送受信されるデータ自体を先に暗号化することが普通になっています。
SSLとかhttpsの言葉をお聞きになったことがあると思います。
SSLという暗号方式でデータをやりとりするサイトのURLがhttps://ではじまります。
この方式でやりとりするサイトやサービスでは、仮に通信が暗号化されておらず、データを盗み見られたとしても、データ自体が暗号化されているので解読できません。
2018年からグーグルのChromeが、SSLに対応していないhttpのサイトは「危険」と警告表示するようになって移行、急速にhttps化が進み、今ではほとんど全てのサイトやサービスが暗号化に対応しています。
スマホで私用するメールアプリや写真の送受信も暗号化されています。
一部のアプリではまだ暗号化未対応のものも残っていますが、大切なデータを扱うアプリで未対応はほぼ無くなりました。
もちろん、携帯各社のメールやGmailは全て暗号化されています。
したがって、街中の暗号化されていないwifiを使っても、普通にネットを見たり、メールやSNSのやりとりならば、情報漏えいの可能性はほとんどなくなったと言っても良いと思います。
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スマホのVPNアプリは必要なのか?
VPNは多くのデメリットもある
速度やレスポンスが低下する
VPNは上の図のように、VPNサーバーを間に挟んで処理が加わりますので、ネットの速度やレスポンスが元より大きく低下します。
もっとも、今ではネットの速度が速くなりましたので、動画や大きいデータのやりとりでは問題がありますが、通常のネット閲覧にはほとんど支障はなないと思います。
怖いのはセキュリティやプライバシーの侵害
むしろ最大のデメリットは、「VPN接続業者の信頼性」にあると思います。
VPN接続業者が用意するサーバーや回線、利用者数に比べて非力だと、遅くて使い物にならないこともあります。
また何より怖いのが、VPN接続業者のセキュリティが甘かったり、不正な業者の場合は、「安全のために接続したのに情報を悪用されてしまう」おそれもあることです。
VPNを使うと身元を隠せますが、逆にVPN接続業者にはすべての情報を預けることになります。
そこを悪用してVPN接続業者が故意に情報を取得して外部に流した例もあります。
事実、公式ストアで配布されているアプリにも、故意か不注意の違いはあれ、情報を漏らしたり、過度に広告を表示して、ウイルスやマルウェアに感染させるような問題のあるVPNアプリがしばしば見つかっています。
特に無料のVPNアプリは危険でトラブルの元、使用しないほうがいい
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普通に使用するときはVPNアプリは必要ない
メールやSNSなど通常のネット使用では神経質になる必要はない
上記でご説明した通り、「暗号化通信が標準」となった今は、「メールの送受信」「SNS」「動画配信」など通常のアプリ使用時にわざわざVPNアプリを入れる必要性はありません。
なお
- 無料Wifiでもパスワードが用意されていて暗号化されているもの(携帯各社提供のもの含む)
- ご自宅でのWifi
- 各携帯事業者が提供しているモバイル回線
などでは、「使い方3:自分の身元を隠してネットをするため」を以外のケースでは、VPNを使用する必要はまったくありません。
どうしてもVPNを利用する必要があるときは、信頼できる有料サービスを使う
誤解しないでいただきたいのは、VPNの技術自体は「機密保持」には大変有効で、プライバシーの保護の観点からも、優れているということです。
「万一に備えて念のため、常にVPNを使う」という選択も否定しません。
また通常は不要としても、
- 非常に気を使う秘密の情報を扱う
- 宿泊施設などで信頼性の低くそうな回線を使わざる得ない
などの理由でVPNを使いたいことはあるでしょう。
誇大広告する不正アプリに引っかからず、正当なVPNサービスを使うことが大切です。
無料のVPNは使わず、信頼のおける有料サービスをご契約ください。
有料と言っても決して高価ではなく、年間数千円からリーズナブルで使えるサービスも多いです。
またこの頃では、ノートンユーティリティーなど有名なセキュリティソフトがVPN接続機能を持つものも増えてきました。
お使いのセキュリティソフトに「VPN接続機能が含まれていないか」もご確認ください。
大手の有料サービスなら信頼性や安全性、回線スピードはどこも同等ですが、Surfsharkだけは唯一「無制限の同時接続を許可するサービス」です。家族全員のスマホからパソコンまで、全ての端末に安全なVPNをまとめて導入できますよ!しっかり日本語対応されていて簡単です。今なら「最大81%引き、月々272円」での加入はここからどうぞ
スマホのアプリは生活に欠かせないものですが、危険アプリがアクセス権限を悪用して個人情報を流出させる事例も多発しています。また広告代や課金目当てに不要アプリをすすめる詐欺広告も迷惑や被害を生み出しています。さらに大手サービスも含む「大量の[…]
「偽警告」の参考になる動画
IPA(情報処理推進機構)さんより、「偽のセキュリティ警告からアプリのインストールへ誘導する手口」について、紹介動画が公開されました。
手口から解決方法まで、おもしろくて面白くてためになるおすすめ動画です。ぜひご覧ください!
まとめ:
「ただより高いものは無い」を大切にネットのサービスをお使いください
VPNについてご説明するきっかけは、当ブログで「詐欺警告」「サポート詐欺」などの記事へのアクセスが多く、被害を受けた方のご相談が相次いだことです。
それらの詐欺広告のターゲットとしてVPNアプリが特に目立ちました。
このような強引な手法で販売されるアプリが、正しいわけがありません。
必ずしも必要でない物を、偽警告でだまされて、高価なアプリ契約を結んでしまうようなことのないようご注意ください。
スマホを使っていると突然「ウイルスに感染しました」「システムのクリーンアップが必要です」などのアラート警告が出てくることがあります。しかしこれらのほとんどは、不要なアプリをインストールさせて広告収入を得ようとするための偽警告です。信じて[…]
「私のスマホやパソコンがハッキング、感染しているかも、、」本当にハッキングされているか確実に調べる方法は?
ネット上のデマや悪質業者の広告を信じてはいけない!
当ブログでご説明しているとおり、スマホやパソコンに突然現れる「ハッキングやウイルスの警告」は広告目的の詐欺警告がほとんどです。
しかし、まれとは言え、時には「不正なアプリをインストールされた」「アカウントを乗っ取られた」などが原因で本当にハッキングされることもあります。
「本当にハッキングされているかも、、」とどうしても心配なときは、ハッキングやウイルス感染などの調査を行っている専門会社に調査を依頼しましょう。
しかし、ネットで調べると、ハッキング調査を探偵や興信所が行っているところが見つかりますが、パソコンやスマホのセキュリティが強化されている現在、ログ解析などのハッキング調査は高度な技術と実績を持つ専門家しかできません。
より正確な情報を安全に調べるには、ハッキング調査の専門業者に相談しましょう。
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