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【2020年最新版】デジタル終活の基本と法~第4回 「デジタル遺品を考えるシンポジウム」より~

202011月14日日本デジタル終活協会シンポジウム1日目「伊勢田講師プロフィール」
2020年11月14日(土)にオンラインで開催された「第4回 デジタル遺品を考えるシンポジウム 1day」で、日本デジタル協会代表理事の伊勢田篤史弁護士による、「デジタル終活の基本と法 2020より~法律から考えるデジタル終活」の講演がありました。
最新のデジタル終活に関わる法的な解釈や今後の動静について、わかりやすいお話しでした。
伊勢田先生の講演内容をもとに、当社の見解も加えて再構成してお届けいたします。

※シンポジウムの二日目は11月21日(土)にオンライン開催されます。1日目も動画で閲覧できますので、ご関心お有りの方はぜひこちらからお申し込み下さい

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講師:伊勢田先生のプロフィール

伊勢田先生は、Digital Keeperも会員となっている日本デジタル終活協会の代表理事で、デジタル終活の必要性を提唱し、普及のため幅広い活動を続けていらっしゃいます。

1.デジタル遺品と法律

デジタル遺品を起立する法律は?

  • 相続法にデジタル遺品について直接規定した法律はない。
  • 18年7月6日に成立した改正相続法のために開かれた法制審議会の議事録を見ても「デジタル遺品」という言葉は一度も登場しなかった。
  • 法律改正に向けた動きも見られないため、デジタル終活は現行の相続法を基準にして考えるしかない

政府は現在のところ「デジタル遺品」や「デジタル終活」については何も動こうとしていません。

2020年1月28日「衆議院財務金融委員会」の「平成三十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案」の審議で、日本維新の会の串田誠一議員(神奈川6区選出)によりはじめて国会答弁に「デジタル遺品問題」が取り上げられ、「デジタル遺品の定義」や「遺族にとって存在が見えないオンライン金融機関についての政府の見解」が問われました。
しかし政府側の答弁は社会課題として認識しようとせず、旧態のアナログ時代の見解を繰り返すばかりでした。詳しくは当社公式ブログの下記記事をご覧下さい。

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すでに社会問題として顕在化しているデジタル遺品問題。マスコミでも頻繁に取り上げられますが、いまだに政府で法制化やルール作りの機運は全く見られません。そんな中で2020年1月28日国会で注目すべき答弁があり、はじめて「デジタル遺品問題」が国会[…]

2020年1月28日串田衆議院議員のデジタル遺品についての質疑
新設予定の「デジタル庁」に大いに期待したいところです。

現行法における「デジタル遺品」

そもそも「デジタル遺品」とは?

  • 法律上で「デジタル遺品」を定義する規定はない。
  • 日本デジタル終活協会では「デジタル環境のパソコンやスマホ通じてのみ把握することができる実態のない遺品」と定義し、実態としてはPCやスマホ上に存在する「オンラインデータ」と、サービスのアカウントなど「オフラインデータ」の二種類がある。
上記の国会答弁の政府側答弁では、「デジタル遺品とはスマホやパソコン上のデータだけでなく、”インターネット上の登録情報(クラウドやサービスのデータや、アカウント=ID、パスワードも含む)”と定義づけられる。」と答えられています。

Q:「オフラインデータは相続できるか?」

A:×「相続はできません」

  • 所有権は実体のある物(有体物)に対する権利のため、形のないオフラインデータ(無体物)は物ではないので所有権もなく相続もできない。

Q:「オフラインデータは遺族が相続できないので、処分してはいけないのか?」

A:×「オフラインデータは処分できます」

  • 所有権を相続できないオフラインデータも、実体ある物であるデジタル機器に保存されていれば、デジタル機器の所有権を通して遺族の所有権が認められ、処分できる。
  • 相続ではデジタル機器が存在する限り、相続したデジタル機器を通じてオフラインデータを処理することは可能となる。

-オフラインデータの相続のまとめ-

  • 通常の相続では、遺言書や遺産分割協議書を元にしてすすめるが、パソコンを誰が相続すると記載することはない。パソコンはいわゆるバスケット条項として「その他全部○○に渡す」とした中に含まれて処理することが普通となる。
  • 遺族は一般的にパソコンやスマホには関心を持つが、USBメモリーや外付けハードディスクに遺族は「関心がない」なケースが多い。しかしそれらの中に大切な終活データが入っている場合があるので、事前に伝えておいて「関心」をもたせるなど十分な注意が必要。
  • パソコンやスマホもログインパスワード(認証)が分からないと開くことができないので配慮が必要。
  • パソコンやスマホが開けたとしても、内部のデータの「処分」はどうすればいいのか?という問題も生じてしまう。
  • 以上のようにデジタル遺品の処理には「関心」「認証」「処分」の大切な3つのポイントがある。

「インターネットサービスのアカウントなどのオンラインデータは相続することができるか?」

A:▲「できるケースもできないケースもある。」

  • アカウントは法律的にはユーザーと提供業者の契約(物権と債権)となる。
  • 相続できるか否かはアカウントの契約が一身専属性(権利または義務が個人に専属し、相続人を含む第三者に移転しない性質)を持つかで決まる。
  • 一身専属契約の有無は、提供業者の利用規約を確認することで分かる。

参考:LINEの利用規約・・・一身専属契約であり相続できない

「本サービスのアカウントはお客様に一身専属に帰属します。お客様の本サービスにおけるすべての利用権が第三者に譲渡対応又は相続させることができません

  • 一身専属の規程がない場合は「相続できる」と思ってしまうが、記載がないからと言って必ず相続できるわけではないことにも注意。相続ができると思ってサービス側とトラブルになり、裁判所に持ち込むと、時間お金もかかリ結局泣き寝入りになる。
  • 終活という観点からは「一身専属か?使って欲しいアカウントが死後も使えるか?」は十分な注意が必要。
  • 遺族がオンラインデータの存在を認識していないケースが多いので、「ネット金融機関や業務に使用している大切なアカウント」は必ず共有しておくべき。
デジタル遺産は多種多様な種類がありますが、まず本人がもれなく棚卸しをして把握しておかないと、継承することはできません。
また自分の死後「どこに何が保存してあるのか?」「どうやって開くのか(アカウント)?」「どうして欲しいのか?」を整理して記載しておく必要があります。
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デジタル終活を終えて幸せそうなシニアカップル

2.自衛のためのデジタル終活

デジタル終活の基本のキ

  • 日本デジタル終活協会はデジタル終活を「デジタル遺品に対する死後の取り扱いについて考える活動」と定義している。
  • デジタル終活とは「必要な何のデジタルデータを残すのか」がキーとなる。
伊勢田講師のお話の通り、法律もルールも確立していない現在、デジタル終活はまさに「自衛のための活動」です。
今現在、もしもあなたにデジタル終活なしで、もしものことがあったらどうなるか?
これを機会にお考え下さい。
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何を残すか?

「オフラインデータ」の場合

  • オフラインデータは、アカウントのパスワードとかデータの所在、データの処理方法というところを中心に残す。

 

「オンラインデータ」の場合

  • オンラインデータは、「金銭が関係するものとしないもの」「個人情報を開示しているか/非開示か」で分類すると良い。
  • 下記図の右上から下に向けて、優先順位をつけて情報を残すように薦めると良い。

 

オンラインデータは非常に多岐にわたるため、伊勢田先生の解説のように自分なりに分類して見落としがないように、重要度に応じた整理が必要です。Digital Keeperでは大きく「デジタル資産とデジタル遺品」に分けて整理する方法をご提案しています。

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デジタル遺産は多種多様。整理しておかないと分からない

3.まとめ:デジタル財産/デジタル遺品を取り巻く新しい流れ

必要な情報を確実に伝える方法は?

202011月14日日本デジタル終活協会シンポジウム1日目「自衛のためのデジタル終活」

  • 横線が「時間の流れ」であり、人が亡くなる前が「デジタル終活」、亡くなった後はデジタル復旧となる。
  • デジタル終活では「必要な情報をいかに伝えるか」が大切で、デジタル終活協会ではアナログなエンディングノートやメモの作成をおすすめしている。
  • デジタルデータの保管方法は「アナログ」「デジタル」「公的制度」がある。
  • アナログな保管場所として「冷蔵庫」という方法もある。不審死の場合かならず冷蔵庫を調べると言われている。
  • デジタルを活用したオンラインやオフラインのツールができてきた。今回のシンポジウムでご紹介するのは、オフラインサービスの「マモーレ」。オンラインサービスの「Secbo」をおすすめする。
  • 公的制度では、公正証書遺言にパスワードを書くのは適当でない。法務省に自分の遺志を保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度」が進歩して、令和3年4月より3900円で予め指定しておいた人の住所に「法務局になくなった方の自筆証書が保管されていますよ」と通知してくれる制度がはじまる。この自筆証書にIDパスワードを書いておくと、死後郵便で知らせてもらう事ができるため、新しい方法としておすすめできる。
  • ただどうしても時間差が生じるので、エンディングノートやデジタルツールなどと併用して、家族に確実に伝わるように準備するのか良いと思う。

 

伊勢田先生が最後にご説明になっているとおり、デジタル終活の方法には色々な手段がありますが、ひとつの方法だけではなかなかカバーしきれないのが実情です。
重要度や緊急度に応じて複数の手段を組み合わせて使うことで、万全なデジタル終活が実現できます。
Digital Keeperは現在休止中ですが、「Secbo」や「マモーレ」の活用もぜひご検討下さい。

 

 

「デジタル終活」を知るための4冊の本のおすすめ

「デジタル終活」については、当サイトでもいろいろな側面からご説明していますが、デジタル終活の必要性や、「もしデジタル終活をしていなかった、どんな被害につながるか」「法律から見たデジタル遺品」などのテーマで詳しく解説された4冊の良書をご紹介します。

特にデジタル遺品問題に長く真剣に取り組んでこられた古田雄介氏の3冊の著作は、どなたにもご一読をお薦めいたします。「スマホの中身~」と「個人サイト」の2冊をご覧になるとデジタル終活の必要性が痛感いただけるでしょう。
また北川祥一氏の「デジタル遺産の法律知識」はアカウントから仮想通貨まで幅広い内容を専門家がQ&A方式でわかりやすく解説してくれます。