日テレ「スッキリ」の「ネットストーカーの巧妙な手口」からSNSの安全な使い方のリテラシーを学ぼう

ネットストーカーのイメージ
2020年9月15日から日本テレビのバラエティ「スッキリ」の「スッキリTOUCH」コーナーで「近年増加しているSNSトラブル」について3日間の特集がはじまりました。
初日は「ネットストーカーの巧妙な手口、どのように対処すればいいのか、専門家が生解説」でした。
被害者を特定する方法の実例から具体的な対策まで、実話事例を元にした非常に参考になる番組でした。当プログの見解を加えて、番組を再構成してご説明します。

スマホの遠隔監視アプリの恐怖

番組は、セキュリティの専門会社LACの技術者と番組女性スタッフによる、興味深い実験からはじまりました。

  • 番組スタッフがスマホを普通に使っている、近くの技術者のパソコンに、スマホを操作するスタッフ顔がそっくり写っている。
  • スマホの内側カメラがハッキングされて盗撮されているが、スタッフは全く気がつかない。
  • スタッフのスマホに遠隔監視アプリがインストールされている実例だった。

ゲストの岡田結実さんも「私もこのようなアプリ使っているので、見られているかもしれない。心配です」と驚いていました。

これはストーカーウェアの実験です。

ストーカーウェアは、本来は自宅の子供やペットを監視する「遠隔監視」目的で作られていますが、正当な目的で使われ、本人が同意している限り、違法ではなく、普通にiPhoneやAndroidの公式アプリストアで配布されています。

公式アプリとして配布されている遠隔監視アプリは、明示されている情報だけ取得し、またアプリ一覧を見ればインストールされていることは分かります。

しかし問題は、「全く痕跡を残さず、あらゆるスマホの情報を盗み取ってしまう」ような「非公式な遠隔操作アプリ」も広く出回っていることです。

このようなアプリを入れられると、居場所だけでなく、「電話の会話も、メールやSNSの投稿、パスワードなどの入力内容」もすべて筒抜けになってしまい、ネットストーカーにとって最高の舞台を提供する事になってしまいます。

注意点としては、ストーカーウェアは恋人など身近な人に隙を見て入れられるケースがほとんどですので、対策としては

  • スマホには確実にロックをかけて、身近な人に勝手に使わせない

ことが絶対に必要です。

詳しくは以下の当社ブログ記事をご覧ください。

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ストーカーウェアにやられたスマホのイメージ

 

ネットストーカーの手口「モザイクアプローチ」の具体例

面識のない人からのネットストーカー被害が増加している。

番組は次に、WEBメディア評論家落合正和氏の解説で、実際に起きた事件の実話を元に「知っておくべきネットストーカの巧妙な手口と対策」の具体的な実例が説明されました。

  • 面識ない人による被害が増えている。
  • SNSを悪用したネットストーカー(Net stalker)は、あたかもパズルを組み合わせるように、複数の投稿を組み立てて個人情報を得る「モザイクアプローチ」という手法で犯行に及んでいる。

実例1.:アイドルを襲ったネットストーカー事件

2019年秋報道された「26歳のアイドルがネットストーカーに襲われて、犯人が実刑判決を受けた」実話を元に、情報キャスターの森圭介アナウンサーより、ネットストーカーの手口が具体的に説明されました。

アイドル活動をする20代の女性にわいせつな行為をしたとして警視庁が逮捕した男が、被害者の住所を特定するため、会員制交流サイト(SNS)に投稿された女性の顔写真から「瞳に映った景色を手掛かりにした」と供述していることが8日、捜査関係者への取材で分かった。

判決によると、被告は多額の金を費やして応援していた女性から冷たい対応をされるようになり、自暴自棄になって犯行を計画。昨年9月1日午後10時50分ごろ、東京都江戸川区のマンションに帰宅した20代女性の口元を後ろからふさぎ、玄関内に押し倒して尻付近を触り、転倒で顔にあざを負わせるなどした。

公判資料から分かったネットストーカー犯行の内容

  1. アイドルのSNS投稿写真の瞳に写りこんでいた風景を拡大し、最寄り駅を割り出した。
  2. 投稿写真の背景に写ったカーテンの柄からマンションと、だいたいの部屋位置を確認した。
  3. アイドルがライブ配信をしている最中に各部屋のインターホンを鳴らして回ることで、正確な部屋を特定した。

ゲストの前田裕二さんよりは

  • ピンポンをしなくとも、外で大声出すだけでライブ配信で場所を特定されてしまうから危ない。
    写真に写り込んだ玄関ドアの色からでもわかってしまう。

とのコメントがありました。

実例2.写真一枚から可能なモザイクアプローチの手口

次いで番組で用意した「女性が犬を連れて散歩中、街角で自撮りした写真」から、「いかにいろいろな情報がとりだせるのか?」。ネットストーカーがどうやってプライバシー情報を得るのかの実例が紹介されました。

写真は、
「犬と共に微笑む女性が写り、背景にはどこにでもあるような、交差点での路上のマンホールと歩道のガードレールが写っている
何の変哲もない写真です。

「ガードレールの写真」から「どこの区で撮ったか」が分かる!

  • 背景に写っていた歩道のガードレールの色が、23区は区ごとに異なるため区が特定できる。

「マンホールの写真」から正確な場所が特定できる!

  • 背景に写っていたマンホールの蓋の柄からどこの場所が特定できる。
  • マンホールの識別番号を拡大すると、200mまで特定できる。

 自分は気をつけていても、友達から漏れてしまう個人情報

  • 投稿に「いいね」がついた友達のアカウントを調べられて、友達の投稿から、名前や職業などの個人情報にたどり着かれてしまう。

個々の情報には大した意味はなくても、いろいろな情報をつなぎ合わせて分析すると全体が見えてきます。これこそモザイクアプローチの怖いところです。

昔は情報の分析は大変でしたが、今ではネットのおかげで簡単にできてしまいます。
たとえばガードレールや駅の建物も、Googleの画像検索をかければ容易に類似画像が見つけ出せます。

また「特定屋」「特定厨」「特定班」など、興味本位あるいは趣味やビジネスとして、モザイクアプローチ手法で個人情報を特定する人たちもいます。

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ネットストーカーがモザイクアプローチで個人情報を集めるイメージ

今回のケースでは「散歩の投稿」とされていたため、「散歩=自宅の近く」と推察でき、他の情報と照らし合わせると、容易に自宅位置が推測できます。

あとは他の投稿からの情報、たとえばカーテンの柄や玄関ドアのデザインから自宅を特定することは容易となるでしょう。

SNSも不特定多数に拡散されるTwitterはともかく、FacebookやLINEのようにクローズドな友達だけへの投稿だとしても、「友達の友達」を通して、またこの頃多発しているアカウントの乗っ取りなどを経由して拡散してしまうことは大いにあり得ます。

ストーカー行為に没頭している犯人の心理状態は「どこまでも追求してプライバシーを知りたい」という強い欲求で突き動かされています。

そのような心理状態の犯人にとって、ネット上で徹底的に探索することは容易なことでしょう。

お子様の写真は特に注意

「かわいいお子様が入学式の校門前でピースサインをしている写真」をネットでしばしば見かけます。

しかし正直言って「顔写真」「指紋」「学校名」など本人を容易に特定できる情報が不用意に掲載されていることに心配になってしまいます。

お子様の安全に直結する、モザイクアプローチに情報を与えることになっていないでしょうか?

写真の投稿時には詳細情報が消されているか確認を

なお写真には「いつどこで撮影されたか」の詳細情報(Exifデータ)が撮影時に埋め込まれています。

不特定多数に見られる可能性がある写真を、ネットにアップしたり送ったりする際は、あらかじめ「場所を特定する日時や位置のデータを削除」する必要があります。

現在ではLINE、Twitter、Facebook、Instagramといった大手のSNSでは、投稿時に自動的に削除されるようになっていますので安心ですが、リンクや添付などで写真を送る際は、提供した先がどんな形で利用するか制限できません。

 

ネットストーカーを避ける対策

番組では解説者や司会の加藤浩次、近藤春菜さんからコメントが続き、以下のような対策がまとめられました。

  • リアルタイムの動画投稿は避けよう
  • 投稿する際は身元を特定するような情報は極力出さないよう、十分に注意。
  • 撮影場所の選び方がもっとも大切。自宅からの投稿は気をつけていても特定される可能性がある。
  • 生活圏内での投稿は控えるべき。
  • これから5Gが普及すると、さらにカメラの解像度が高く鮮明となり、映り込んだ画像から情報が漏れる危険が高まる。解像度を下げたり、ぼかす対策が必要。

 

 

9月16日のテーマ「10代を狙う最新手口、子どものSNSトラブル」は以下でどうぞ!

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SNS上の誹謗中傷に悩む少年

 

「私のスマホやパソコンがハッキング、感染しているかも、、」本当にハッキングされているか確実に調べる方法は?

ネット上のデマや悪質業者の広告を信じてはいけない!

当ブログでご説明しているとおり、スマホやパソコンに突然現れる「ハッキングやウイルスの警告」は広告目的の詐欺警告がほとんどです。

しかし、まれとは言え、時には「不正なアプリをインストールされた」「アカウントを乗っ取られた」などが原因で本当にハッキングされることもあります。

本当にハッキングされているかも、、」とどうしても心配なときは、ハッキングやウイルス感染などの調査を行っている専門会社に調査を依頼しましょう。

しかし、ネットで調べると、ハッキング調査を探偵や興信所が行っているところが見つかりますが、パソコンやスマホのセキュリティが強化されている現在、ログ解析などのハッキング調査は高度な技術と実績を持つ専門家しかできません。

より正確な情報を安全に調べるには、ハッキング調査の専門業者に相談しましょう。

おすすめのハッキング調査会社:デジタルデータフォレンジック

デジタルキーパーも貴重な情報を提供いただいている「デジタルデータソリューション株式会社 の《デジタルデータフォレンジック》」は、官公庁、警察・捜査機関からの信頼も厚い、国内随一の高い技術と実績を持つサービスです。

累計の相談件数は1万4,000件以上。国内売上11年連続No.1のデータ復旧技術を利用して、デジタル遺品の調査・データ抽出を受け付けています。

相談~調査の見積もりまでは無料で対応してくれるので、まずは一度相談してみるとよいのではないでしょうか。

「※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています。」

おすすめの調査会社:デジタルデータフォレンジック

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まとめ:
ネットの便利さの影に隠れた危険を学び基本的なリテラシーを身につけよう

普通の人がデジタルを使うようになってまだ20年、スマホはほんの10年ほどです。
便利さばかりが先行し、まだ基本的な使い方やマナー、ルールを確実に理解されていません。

たとえば、今では都市部では、自宅に鍵をかけずに外出する人はいません。場合によっては2つの鍵をかけ、防犯カメラをつけるなど、セキュリティに気をつけるのは当たり前です。

しかしそんな方でも、大切なアカウントの、いわば「鍵に当たる=パスワード」は、平気で簡単なものを使い回しています。
これでは危険度は「合鍵を街中にばら撒く」ことと同じですが、そのリスクにまだ気がついていないため、平然と行われています。

このようなリスクと対策を正しく知ることがリテラシー(活用能力)です。

SNSの投稿は

  • 「投稿したら最後、世界中に広がる可能性がある」
  • 「検索技術により、膨大な情報の中から容易に特定される可能性がある」

ことを知ることは基本的なリテラシーだと思います。

ぜひご家族で話し合ってみてください。

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