fbpx

金ピカ先生・佐藤忠志氏の急死からSNSのデジタル終活の必要性を考える

40歳以上の方にとっては青春時代を飾る有名人の1人であった「金ピカ先生」こと佐藤忠志氏が2019年9月末にお亡くなりになりました。死後もしばらくそのまま残された佐藤氏のFacebookページを見て、なんとかならないものかと、Facebookの死後の扱いについて調べてみました。
実に複雑な手続が必要で、事前に備えておく必要性を痛感しました。
佐藤氏のご冥福をお祈りすると共に、この機会にご自身の問題としてもぜひお考えください。
目次
/ins>

金ピカ先生 佐藤忠志氏を心からお悔やみ申し上げます

見た目とはずいぶんイメージが異なる繊細ですばらしい先生でした!

2019年9月の末、元予備校講師、教育評論家の金ピカ先生こと佐藤忠志氏の死去が突然報道されました

佐藤氏は1970年代終わりからバブル期にかけて、代々木ゼミナールで名物講師として大変な人気を誇り、多数の参考書も出版されて、その後は評論家、タレントとしても大活躍なさいました。

40代以上の方には懐かしく、その生き様にかなり強烈な印象が残っている有名人でした。

私も授業を受けたことがありますが、まるでヤクザのような独特の雰囲気と外見とは裏腹に、授業はていねいでわかりやすく、非常に勉強になりました。
また気さくさがあふれんばかりのお人柄で、受講生にも気軽に声をかけてくれ、沈みがちな受験時代、先生にはずいぶん励まされました。

私の周辺にも
「先生のおかげで苦手な英語が克服できて入試に通った」とか
「授業で当てられたとき、ささいななことをいっぱいほめてくれて、その後の大学生活の励みになった」
など、先生の人柄を懐かしむ方がたくさんいらっしゃいます。

それぐらい絶大な人気のある、超カリスマ講師でした。

詳細は分かりませんが、68歳で孤独死されたと言うことですが、生前のお元気さを思うと、未だに信じられません。

心からご冥福をお祈りします。

そのまま残ってしまった佐藤忠志氏のFacebookページから学ぶべき教訓

佐藤忠志氏のFacebookページは、痛ましいことに死後も約半年間そのまま残ってしまい、最後の書き込みには、10数件の追悼コメントが寄せられていました

佐藤氏は活発に投稿されていた時期も長く、直前までは相変わらず、意気軒昂で元気なご様子がうかがわれます。

ところが、2017年の2月末に最後の書き込みは今から思うと、意味深な内容でした。
その後何があって、先生がこのような最後を迎えることになったのかは分かりません。

しかし著名人も含めて1000名以上の「友達」がいながら「せめてお亡くなりになった後のページついて、すぐになんとかしてあげる人はいないのか?」と悲しくなってしまいました。

 

Facebookユーザーに必要な準備

Facebookのユーザーが亡くなった時の対応は本人が生前に設定していたかが大きな分かれ目

Facebookは「ユーザーの死後」について、ほとんど考慮されていない通常のオンラインサービスの中で、例外的にユーザーの死に対してきちんと対応しているSNSです。

ユーザーの死亡を確認するとFacebookはアカウントを「追悼アカウント」という特殊なアカウントに移行させます。
ただ扱いは非常に複雑ですので、下記のフローチャートをご覧いただきながらお読みください。

まずご理解いただきたいことは、本人のアカウントは本人以外が使うことは認められていないということです。したがって本人の生前Facebookに表明していた意思が最優先されます。つまり本人が生前に「自分のFacebookをどうしたいか?」を考えて、「Facebookの設定をどのようにしていたか?」で大きく変わってしまいます。

本人が指定できる選択肢は以下の2つだけです。

  • 私のFacebookのアカウントを私の死後「削除」してください。
  • 私の死後、Facebook友達の○○さんを「追悼アカウント管理人に指定」します。

のどちらかです。
設定はFacebookの「設定」メニューから簡単にできます。以下のヘルプをご覧ください。

■Facebookヘルプより 「私が死んだ場合、Facebookアカウントはどうなりますか」

Facebookの死後のアカウントの取り扱いフロー図

ケース1:本人がFacebookで生前に設定していた場合

本人が死亡した後、

  1. 家族や友人がFacebookに所定のフォームで届ける。
  2. アカウントの利用状況からFacebook自体が自動的に判断する。

のどちらかの過程を経て、Facebookは本人の死亡を認定します。ただ2.の自動判定は、現状を見る限り使われていないようで、届出がないと放置されてしまうのが現状のようです。
死亡が判定されると、本人設定の意向にしたがって「本人のアカウントが追悼アカウントに移行されて追悼アカウント管理人に管理を委託する」または「すべてのデータを削除する」と機械的に対応されます。

ケース2:本人がFacebookで生前に設定していなかった場合

現状では本人が死んでも、自動的には何も進みません。
家族や友人がFacebook以下のフォームで届けを出して承認されると、Facebookはアカウントを「追悼アカウント」に移行します。
また家族が死亡診断書のコピーなどFacebookが定める書類を提出して認められれば「アカウントの削除」も可能です。家族以外の人も申請もできますが、「委任状」など追加の書類が必要となりますので「肉親または正式な代理人」以外は無理でしょう。

ご注意いただきたいのはここでFacebookがしてくれることは「アカウントの削除」だけです。「写真をダウンロードしたい」「本人の投稿やMessageを確認したい」などできません。

■Facebookヘルプより 亡くなった家族のFacebookアカウントについて削除をリクエストするにはどうすればよいですか。

もしも本人が生前何も設定しておらず、死後、家族・友人が動いてくれなければ、佐藤氏のページの事例の通り、一切何も行われず放置されたままとなります。

■Facebookヘルプより 「追悼アカウントのリクエスト」フォーム

 

「追悼アカウント」とは何か?

「追悼アカウント」で、できること

追悼アカウントとは、友達や家族が集い、本人の思い出をシェアするための場所としてFacebookが用意します。
アカウントが追悼アカウントに移行されると、元のアカウントへは一切ログインできなくなり、過去の投稿やコンテンツは凍結・固定されて、生前のまま保管されることになります。

  • プロフィールの本人の名前の横に「追悼」と表示され、それまでのアカウントと区別できる。
  • 今までのタイムラインとは別に、新たに追悼タイムラインが用意され「友達」は追悼メッセージやや思い出を投稿できる。
  • 本人の生前のタイムライン、コンテンツ(写真や投稿など)はそのまま残り閲覧できる。

 

「追悼アカウント」ではできないこと

追悼アカウントは、あくまで追悼用の新規アカウントで、それまでの通常のアカウントとは全く異なります。元のアカウントは凍結され、内容は一切変更や編集はできません。ここは十分にご注意ください。

  • 本人の元のアカウントにはログインできない。Messageも閲覧できない。
  • 追悼アカウント自体の削除はできない。
  • 追悼アカウントに移行されても、本人の生前のコンテンツ(写真や投稿など)はそのまま掲載されて、削除や編集はできない。
  • 追悼アカウント管理人がいない場合は、新規の友達登録はできない。

生前に追悼アカウント管理人を指名していれば追悼アカウントの管理ができる

追悼アカウント管理人のできること

本人が生前にFacebook友達の中から「追悼アカウント管理人」を指名しておけば、本人の死後、Facebookが承認すれば、指名された人は「追悼アカウント管理人」として以下の追悼アカウント管理ができるようになります。

  • 追悼アカウントの管理人として、訃報の書き込み、プロフィール写真、カバーのデザイン変更をする。
  • 追悼タイムラインの投稿の管理(選択、削除など)する。
  • 故人の投稿、アップロードした写真や動画、プロフィールと連絡先情報、イベント、友達リストのダウンロード
  • 故人がタグ付けされた投稿を閲覧できる人を変更する。他の利用者の投稿に付けられた故人のタグを削除する。
  • 亡くなった方の生前にFacebookの利用をしていなかった新規の友人や家族に限り、新しい友達リクエストを受け付ける。
  • アカウントの削除ができる。

追悼アカウント管理人でもできないことがある

以上のように追悼アカウント管理人を指定しておけば、個人の遺志をかなり反映させることができます。

しかし追悼アカウント管理人と言えども、Facebookの定める制約は厳しく、編集できるのはあくまで「追悼アカウントに移行して以降」に限られます。たとえば以下の事はできません。

  • 本人の元々のアカウントにログインはできない。したがってMessageの読み書きは一切できない。
  • 生前の本人の投稿は非公開分も含めて閲覧はできるが、削除や編集はできない

■Facebookヘルプより
追悼アカウント管理人ができること

追悼アカウント管理人の指定だけは必ずやっておきましょう!

追悼アカウント管理人は、本人の過去の投稿などを削除編集こそできませんが、追悼アカウントの円滑な管理ができるほか、本人のアカウントの主なデータをダウンロードすることはできます。

おそらく多くの方が希望されるのは

  • 「本人の死後しばらくは追悼アカウント」として存続させ、関係者のお悔やみの場とする。
  • 何回忌か「区切りの時」に、写真やデータを記録としてダウンロードした後にアカウントを閉鎖する。

事だと思います。これができるのは「追悼アカウント管理人だけ」です。しかし追悼アカウント管理人は本人が生前に指定しておかなければ後から追加はできません。

家族か信頼できる人を必ず「追悼アカウント管理人」に指定しておくことにしましょう!

 

Facebookは本人のアカウントの独立性やプライバシーを尊重しているのは分かるが、、

一旦投稿された内容を編集したり削除できるのは、結局「本人のアカウント」だけ

繰り返しますが、追悼アカウントに移行されると、本人の過去の投稿は凍結され一切編集・削除をはできません。いかにFacebookがいかに本人の意思を何より大切にしているかが分かります。SNSとしての本質を考えると、事業者としてはこれは当然の扱いと思います。

しかし家族や友人からすると、故人の人生や事情、さらに本人の名誉などを考えると「削除したい投稿」もあるかもしれません。また過去のMessageのやりとりを確認したいこともあるでしょう。

しかしルール上は完全に不可能です

 

最低でも「追悼アカウント管理人の設定」は必ずやっておきましょう

以上ご説明したとおり、最も死後の扱いについての配慮が進んでいるFacebookとでも、自分の死後意思を通すことはなかなか大変です。
まして「追悼アカウントの管理人」を生前に指定しておかなければ、追悼アカウントを管理することもできませんし、遺族ができることはアカウント閉鎖だけになってしまいます。

下記の記事のように、Facebookは世界最大のSNSであり、「今のペースでユーザーが増えると、2070年までに死亡したユーザー数が生きているユーザー数を上回る」という研究もあります。

もちろんFacebook自体もいろいろと対応策を考えていて、今後AI等を活用した効果的な対応が取られることとは思います。またもう少し死者や遺族の立場に立って「忘れてもらえる権利」について認められるときが来るかもしれません。

しかし少なくとも現時点に置いては、最低でも「追悼アカウント管理人」の指定しておかないと、死後のアカウントはどうすることもできませんので、設定は絶対に必要と思います。

簡単に設定できますから、いますぐに親しい友人や家族を指定しておきましょう。

しかしそれだけで大丈夫でしょうか?

 

デジタル終活がやはり必要なのでは?

誰にとっても、変えたい、忘れてしまいたい過去もある。一身専属の制約を超えるには自ら備えておくしかない?

理由はSNSに限らずオンラインサービスのほとんどのアカウントは「一身専属」であり、本人以外が使用することを固く禁じています。

その是非や法律論をここで議論するつもりはありませんが、個人の人生の証であるネット上の情報は「いかなる場合でも一切手が加えられない」というのはあまりに非人間的な気がします。

まして本人にとっても、遺族にとっても事情が変わったら公開したくない投稿もあるでしょう。確認したいMessageもあると思います。

それらをすべて「規約を盾に否定する」のはあまりに非道だと思います。

人の人生で、ある時期は良かったことも後になると「消してしまいたい」事はいくらでもあるでしょう。
本人にも遺族にも「消したい」「忘れてもらいたい」自由も権利もあるはずです。

まとめ:
アカウントをデジタル終活して信頼できる人に託しておくことができれば、、?

たとえば規約上は違反となりますが、実態としてアカウント自体を、本当に信頼できる人に託しておけば「削除や編集も含めて」対応を依頼するができます。
デジタルに詳しい親友に「お前と私との長い友情に免じて、私のSNSの管理と編集を一任したい。できれば家族とも相談して面倒見てやってくれ」と依頼するのです。

そして整理した上で、追悼アカウントに移行すれば、本人にとっても家族にとっても安心できる形でFacebookが続けられます。

佐藤氏の痛ましいFacebookページを見て調べた結果、「安全な方法でご自身との意志とアカウントを後世に託すデジタル終活」はやはり必要だと痛感しました。

この機会にぜひお考えください。

最後に改めて佐藤忠志先生のご冥福を心よりお祈りいたします。

ブログ内の関連記事(新しいウィンドウで開きます)

いよいよ当社が開発を進めてきた新サービス Digital Keeper ® をリリースさせていただきました。当社創立者が長い間悩んでいた「各種クラウドサービスやアプリを自由に安全に使いながら、どうやってデジタル資産を確実に継承しよう?」[…]

 

「デジタル終活」を知るための4冊の本のおすすめ

「デジタル終活」については、当サイトでもいろいろな側面からご説明していますが、デジタル終活の必要性や、「もしデジタル終活をしていなかった、どんな被害につながるか」「法律から見たデジタル遺品」などのテーマで詳しく解説された4冊の良書をご紹介します。

特にデジタル遺品問題に長く真剣に取り組んでこられた古田雄介氏の3冊の著作は、どなたにもご一読をお薦めいたします。「スマホの中身~」と「個人サイト」の2冊をご覧になるとデジタル終活の必要性が痛感いただけるでしょう。
また北川祥一氏の「デジタル遺産の法律知識」はアカウントから仮想通貨まで幅広い内容を専門家がQ&A方式でわかりやすく解説してくれます。