普通の「終活」との違いから、目的と意義、また「もしもスマホ万能時代の今、デジタル終活をしていなかったら、デジタル遺産やデジタル遺品でどれだけ困って、悲しい事になるか?」など、「デジタルの安全な使用と継承~デジタルキーピング」の最大の目的である「デジタル終活」について実例をもとにやさしくまとめてみました。
デジタル終活は「終わりを向いた」活動ではなく「今を生きるため」の活動です
デジタル終活はお年寄り向けの「終活」ではない。常に続くデジタルとの正しい付き合い方です。
当社は「デジタル終活」をテーマとして、日本デジタル終活協会に加盟し、デジタル終活について情報やサービスをご提供しています。
デジタルが私たちの身の回りに進出してきてまだ30年ほど。本格的に使われだして20年です。大人になってから携帯電話やインターネットに親しむようになった、いわば「デジタル第1世代」の皆さまもまだ「終活」の年代には到達していませんから、一見必要ないようにも思ってしまいます。
しかしデジタル終活とはデジタル第1世代の方々だけでなく、現在を生きる人にはだれにでも「今すぐ取り組むべき必須の活動」なのです。さらに「デジタル終活」は「終活」という言葉の本来イメージとかなりニュアンスが異なり、準備ができたら終わりではなく、生きている間はずっと意識して継続(=Keep、キープ)すべき活動です。
そこで当社は「デジタル終活」ではなく「デジタルキーピング」という言葉も使ってご説明するようにしています。
ふつうの「終活」とは? 目的とメリット
「終活」という言葉はWikipediaによると
「人生の終わりのための活動の略。人間が自らの死を意識して、人生の最期を迎えるに当たって執るさまざまな準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉」
引用元 Wikipedia「終活」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%82%E6%B4%BB
とされています。
「終活」は「婚活」の流行に続いて、社会の老齢化が社会問題となるにつれ注目を浴び、2012年は流行語大賞も受賞しました。
ニュアンスからしてご高齢のシニアの方向けの言葉で、終活をテーマとした本や商品・サービスやイベントもしばしば目にするようになりました。
一般的な「終活」とは、人生の終着点を意識しだした方が、
- 【身辺整理】元気なうちに資産や身の回りの物を整理して、不要なものは自ら処分して身軽になる。
- 【交友管理】万一の際に備えて、友人、知人など人間関係を再整理し、対応方法や連絡先を明らかにしておく。
- 【資産整理】遺産や遺品の配分を決めて、意思書面で残す。
- 【健康管理】健康を害した際の介護や治療方針、延命治療について自らの意思を明確にしておく。必要な場合は意思を書面にして残し、施設の予約も行う。
- 【葬祭準備】葬儀やお墓についての意思を明確にし、必要な場合は場所や費用も用意しておく。
- 【意思書面作成】上記の内容をエンディングノートや遺言書として書面で残す。
といった作業を指すようです。
またこれらの情報を整理してエンディングノートを作成することも広がり、各種エンディングノートや終活の参考書も市販されています。
しかし「終活」の本当のメリットとは、上記のような具体的な作業の成果にとどまらず、
「きちんと終活を済ませたことにより、心のわだかまりや不安が減り、改めてその後の人生を前向きに過ごすスタートのきっかけとなる」
効果が大きいのではないでしょうか? 各種ガイドブックやセミナーでもその様に説明されることが多いようです。
デジタル終活がふつうの終活とは全く異なる理由
形のないデジタルは、結局本人しか存在はわからない
さて「デジタル終活」と聞くとだれでも「スマホとかパソコンとかデジタルに関わる終活をしておくことだろう」とお思いのはずです。
確かにその通りですが、デジタル終活は「終活」という言葉にとらわれては本質を見失ってしまいます。
デジタル終活は普通の終活と違い、シニアの方のための活動ではありません。
まして「歳を取って死期を意識してからはじめる」のではなく、若いうちから、日常から、心がけておくべきことなのです。
なぜなら、今は身の回りにデジタルがあふれ、デジタルを使いこなしていくスキルが必至の時代です。
情報も大切な情報やお金・資産に関わることまでも、紙ではなく、ほとんどすべてがデジタルデータとして存在するようになっています。紙の情報と異なり、デジタル情報は無形ですから、本人しか存在はわかりません。
- 通帳がないオンライン銀行、オンライン証券
- スマホのおサイフケータイなど各種決済サービスの残高
- アルバムに貼られることもない、パソコンやスマホの中のデジタル写真
- メール、SNSなど膨大なコミュニケーションの記録
などあげるまでもなく、今や生活の大部分がデジタルの中に移行してしまいました。
しかし少し考え見てください。自分以外の人、家族でも奥様でも結構ですが、身近な方が、上にあげたようなデジタルを「どう使っているのか」「どこに保管しているのか」あなたはご存知ですか?
アカウントで守られたデジタルは家族といえども勝手に触れることはできない
さらにデジタルは「IDとパスワードからなるアカウント」で厳重に守られています。
セキュリティ意識の高まりにつれてアカウントやロックの技術は年々高度になり、アカウントがわからなければデジタルには触れることはできません。
スマホやパソコンはロックが解除できなければ使うこともできません。
しかも肝心なアカウントは「一身専属=アカウントは個人だけのもの」というルールで、本人以外の使用は認められていません。
あなたは大切な方に、ご自身のアカウントやロック解除の方法を伝えていますか?もしそれがなかったらどうなるかイメージしてみてください。
通信事業者も、メーカーも、政府も何もしてくれない。
急速にデジタルが普及してまだ25年ほど。社会のルールも法律も急激な進歩に追いついていません。結局自己責任で備えるしかありません。
政府も国民が困ってしまう事は認識しているようですが、まだ具体的な対策を取る様子はありません。
すでに社会問題として顕在化しているデジタル遺品問題。マスコミでも頻繁に取り上げられますが、いまだに政府で法制化やルール作りの機運は全く見られません。そんな中で2020年1月28日国会で注目すべき答弁があり、はじめて「デジタル遺品問題」が国会[…]
デジタルを整理して、継承できるようにしておくことは現代人の必須の作法となりつつある
自らの意思でデジタルキーピングに取り組もう
以上のことからお気付きの通り、形のないデジタルは本人しか詳細はわかりません。
本人が自分の意思で整理し、継承する準備をしておかなければ、永遠に失われてしまうリスクが高いのです。
しかしほとんどの方は、デジタルを整理するどころか「自己流で使っているだけで、自分でもどこに何があるのかわからない。アカウントもパスワードも適当ではっきりしない」ということが現実でしょう。
しかも本人ですら、ご自身のデジタル資産全体をきちんと把握して整理している方は皆無に近いと思われます。
これは無理もありません。デジタルが広まってまだ20年、だれも正しい方法を教えてくれず、学ぶ機会もなかったのです。
ぜひこれからデジタルに関わるアカウントやコンテンツ、それに伴う契約や価値を整理して、安全に使うよう整えておくこと、すなわち「デジタルキービング」を意識していきましょう。
それがデジタル終活の第一歩で、今やどなたにとっても日常生活の基本として必要なことなのです。
デジタル終活の最初のステップは、デジタルの安全と不安を減らすこと
個人情報の流出や、不正アクセス/不正ログインなどの報道を耳にするたびに
「アプリやデータ、何を持っているのかもわかっていない」
「パスワードも適当につけていて使い回しも多い」
「こんなことで私は大丈夫かなあ」
と不安に思い、
「大切な方に継承する前に、いつかトラブルに巻き込まれてしまうのでは」とご心配の方が多いでしょう。
身に覚えがない「dアカウントでログインした方に送信しています」とか「dアカウントのセキュリティコード確認」などの通知メッセージを受け取った方はいませんか?2018年の秋。dアカウントのパスワードを使い回していた私は、不正アクセスされて不[…]
デジタル終活では、まずデジタルデータ利用の不安を解消し「ご自身の持つデジタル資産を総括して、デジタル遺産とデジタル遺品に整理し、不安を解消し、安全に利用できるようにする」ことが第1のステップです。
断捨離がブームですがデジタルも同様です。まずきちんと使えるように整理整頓されていなければ、継承するどころではありません。
きちんと整理されたデジタル資産を、万一の時に継承できるよう準備しておく。
第2のステップとして、わかりやすく安全に使えるように整理されたデジタル資産を、「万一の際、家族や親しい方が困らないよう、確実に継承できるように準備しておく」ことでデジタル終活はいったん完了します。
ご想像が付くように、第1のステップ「整理・断捨離」の方がはるかに大変で、それができていれば、形のないデジタルの継承は比較的簡単に進められます。
そして日常の活動としてデジタルキーピングを続けていく
しかしこれで終わりではありません。
これからの時代は、おそらく全ての方が亡くなるまでデジタルと関わって生活するはずです。「整理されたデジタルを安全に使い、いざという時は継承できるように維持管理しておく」ことは、ずっと続く日常的な活動となります。
当社が「終わりを意識する終活」ではなく「デジタルキーピング」という言葉を提唱したのは、これが理由となります。
つまり若い頃からデジタルを正しく安全に使う方法を身につけ、ずっと日常で実践し、自然に後世に継承する準備も行っておく、一連の流れをデシタルキーピングと呼びたいのです。
デジタルキーピング(含むデジタル終活)はすべての人に必要な現代のお作法なのです
以上ご説明してきましたが、ふつう「デジタル終活」と聴くと、とかく「終活」や「デジタル遺品整理」に焦点を当てて考えがちです。
しかし決して死後のためだけでなく、現代をデジタルと共に生きるすべての年代の方にとって大切な作法だとお分かりいただけたでしょう。
この頃の「終活ブーム」の中で既に終活をはじめている方も多いと思います。デジタル終活は年配の方が行う普通の終活と似ていますが、形のない物をデジタルを対象とするため、方法はかなり異なりますし、やっておかなければデジタル資産の消失にもつながり[…]
デジタル終活の正しい定義とは?
「単に終活活動だけでなく、デジタルの断捨離から整理まで含んだ一連の活動を指す」デジタル終活については、「高齢」を連想させる「終活」よりもっとふさわしい言葉があると思います。
しかし残念ながら、今のところ適当な言葉が見つかりません。そこで当サイトではいったん
「デジタル終活とは、まず身の回りのデジタル資産を整理し、安全にデジタルが使えるよう整備(=デジタルキーピング)を実現し、さらに万一の際に大切な人に確実に継承できるよう準備すること」
と定義づけました。
もしもデジタル終活をしていなかったらどうなるか?そのリスクと悲しみ
「私はあまりスマホも使わないし、デジタルに縁はないよ」という方も少しだけ考えてみてください。
もしもの時にどうやって友人、関係者に連絡するか?考えて見ましょう
少々縁起の悪い話で恐縮ですが、「あなたがもしもの際、ご家族はどうやって友人や関係者に連絡を取るか」。シミュレーションとしてちょっとイメージしてみてください。
- ご家族の緊急連絡先はすぐにわかりますか?
ご主人や大学生の息子さんが急病や不慮の事故で意識を失ったり、不幸にして急死なさったとき、会社や学校、ご友人にどうやって知らせますか?
「まずスマホを見る?!」~スマホにはロックかかっていますよね。またもしも事故でスマホが壊れていたらどうしますか? PCはすぐに開けますか?
- ご家族の関係者、友人、親族の住所はおわかりですか!?
一昔前だったら、会社や学校の住所録が配布されていました。
たいていのご家庭では、電話の横の住所録や手帳の住所欄を見て、容易に連絡先を調べることができました。
さらに状差(じょうさし=レターラック、これも死語)にあった手紙やはがきからも調べることができました。
ところが、今は現在どうでしょうか? 「ほとんどの連絡先はスマホやPC、ネットの中」と言う方がほとんどではないですか??
個人情報保護で住所録が配布されることもなくなりました。
コミュニケーションのほとんどはメールやSNSとなり、年賀状もPCで管理されたデジタルの住所録から印刷して送るのが普通です。
- 年賀状作成はパソコン得意なお父さんに頼んでいたあなたは、PCで住所録をみつけることができますか?
「ある日突然家族が急死してしまったら」。遺族には悲しみだけでなく、大きな苦労がかかってしまいます。その中で近年表面化してきたのが「デジタル遺品整理」の苦労。果たしてどのくらいの手間がかかるのか?シミュレーションしてみました。「どうしてデ[…]
住所すら分からない。では「スマホの写真は」「ネットの支払いは」「オンライン証券は」「SNSの書き込みは」 ?
今の時代、自分以外の家族の住所・連絡先すら、簡単にはアクセスできません。
しかもデジタル資産の中には「もっと大切な」「もっと貴重な」「もっと高価な」デジタル資産、すなわち「デジタル遺産」や」「デジタル遺品」になるものがたくさんあります。
思い出もお金も、デジタルデータと言う形のないもので、しかもIDやパスワードといったややこしい認証手続に守られて、たとえ家族であっても他人同様、簡単にはデジタル遺産に触れることができません。
シニアの方はもちろん、若い方ははるかに多くのデジタル資産をお持ちでしょう。
あなたがスマホで記録した写真やメッセージは、家族にとって「何よりも価値がある貴重な物、デジタル遺品」なのです。
大切な方の死後、スマホやPCのロック解除を求めて、高額の費用がかかるにもかかわらず、デジタル遺品整理業者に連絡する遺族の方がたくさんいらっしゃいます。
しかしスマホやPCは、機能の進歩によって、たとえ家族であっても後からロックを解除してデータを取り出すのはほとんど不可能な時代になってきているのです。
まとめ:
誰にでもデジタルの始末が必要な時代になりました。残された人のために、デジタル終活をすすめましょう
以上ご説明したとおり、現在ではだれもが
「デジタルに保存してある情報を整理しておき、万一の際に必要な人に確実に受け渡すことのできる手段を準備しておく」
「後に残された人たちのことを考えて、デジタルの継承にできるだけの配慮をしておく」
ことが求められています。
これは一昔前には考えることもなかった概念ですが、この10年ほどのデジタルの進歩により、急速に必要性が高まりました。しかし多くの方はその必要性にまだ気がついていません。
現実はすでにデジタルキービングの考え方と「デジタル終活」が必須な社会に入っているのです。
当サイトでは「デジタル終活の具体的な方法やツール、心がけ」を、詳しく、やさしく、ていねいにご説明していきます。
オンラインデジタル終活支援サービス「Digital Keeper」のおすすめ
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「デジタル終活」を知るための4冊の本のおすすめ
デジタル終活の必要性や、「もしデジタル終活をしていなかった、どんな被害につながるか」「法律から見たデジタル遺品」などのテーマで詳しく解説された4冊の良書をご紹介します。
特にデジタル遺品問題に長く真剣に取り組んでこられた古田雄介氏の3冊の著作は、どなたにもご一読をお薦めいたします。