しかしネット投稿されアップした写真は、ネットストーカーや炎上、無断使用など、将来お子様の思わぬ被害や権利を侵害につながる危険がある今日、赤ちゃんや子供の写真がネット上にあふれている日本は先進国としては異常です。
「デジタルタトゥー」の言葉通り、1度ネット上に公開された写真は二度と取り戻せません。後で後悔することのないよう、最新のお子様のプライバシー保護の現状を理解してから投稿するようにしましょう。
子供のプライバシーも尊重しよう
子供が「写真の無断投稿」で両親を訴えた事件
2019年4月オーストリアの18歳の女性が両親を「自分の写真の無駄使用」で訴えたと報道されました。
■女性が、子供時代の恥ずかしい写真を共有した両親を訴える(英文)
両親は女性の赤ちゃん時代の裸体を含む多数の写真を、Facebook上の数百人の友達と共有していました。
女性が成長した後「恥ずかしいからやめて」と懇願するも、父親は「自分が撮った写真だから公開する権利がある」と譲らなかったそうです。
法律家は「画像が女性の私生活を侵害していることが証明できれば、両親は金銭の補償と訴訟費用の負担を求められるだろう」とコメントしています。
「この記事についてのその後」は報道されていないため、和解したものと思われますが、デジタルネイティブ世代と、デジタルを軽視する親世代とのギャップを象徴する報道だと痛感しました。
FacebookやInstagram上にあふれる、子供や赤ちゃんの写真を見るにつけ、冗談抜きに、近い将来日本でも同様の争いが起きることを懸念してしまいます。
赤ちゃんにも幼児にもプライバシーも肖像権もあります
自分の容姿を無断で撮影されたり、写真を勝手に公表されないように保護される権利を「肖像権」と呼びます。
肖像権にはプライバシー権とパブリシティ権の2つがあります。
- プライバシー権は人格権とも言われ、勝手な撮影や公表を拒否する権利です。
- パブリシティ権は財産権とも言われ、利益・価値につながる自分の写真の無断使用を拒む権利です。
これらの権利はあくまで本人に帰属するので、たとえ未成年や赤ちゃんでも当然権利は持っています。
本来は「本人の同意なし」で撮影したり、投稿することは無断使用であり、本来は許されものではありません。
とは言っても子供や赤ちゃんは、本人が理解できず、同意も取れません。
その場合は、両親は自分の気持ちではなく、本人の側に立って判断し、将来本人が「肖像権の侵害」「無断使用された」ととらえないような範囲内で撮影や公開を心がけるべきです。
海外では子供のプライバシー保護の法整備が進んでいる
デジタルの取り扱いではまったく後進国の日本では、まだ具体的な法令や判例はありませんが、人権意識の高いヨーロッパの国々では、子供の肖像権も明確に認められ、親でも子どもの権利を犯すことのないように、厳しく警告されています。
■フランスの親はFacebookに子供の写真を投稿すると刑務所に行く可能性があります(英文)
またアメリカでは1998年に「児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act of 1998。通称「COPPA」)が制定され、子供の個人情報がネット上に拡散することを防ぐ法整備が進んでいます。
子供を取り巻く性犯罪やいじめが社会問題となっている日本でも、近い将来に同様のルールや判断が当たり前となるべきと思います。
いったんネットにアップした写真は取り消すことができない
「デジタルタトゥー」をご存知ですか?
瀬戸康史さんと高橋克実さんによってNHKのドラマにもなったデジタルタトゥーと言う言葉をご存知ですか?
いったん身体に彫り込むと消すことが困難になる入れ墨(タトゥー=tattoo)にたとえて、「1度ネット上に拡散した情報は2度と削除できない」ことをうまく表した深刻な言葉です。
子供の写真をGoogleなどの画像検索で検索すると、同様の写真があちこちで多数ヒットします。
ネットに上げられた写真は増殖し、一人歩きをはじめているのです。
たとえ友達に投稿したつもりでも、デジタルデータはコピーが容易であり、簡単に拡散してしまうことは皆さんもよくお分かりでしょう。
親世代も「自分事として振り返る」とすぐにリスクに気がつくはず!
今の30代以上の大人世代の子供時代の写真は、紙の写真としてアルバムの中に保管されていて、いくら検索してもネット上には出てきません。
また「子供時代にどこの小学校を出て、何をしたのか?どう過ごしていたか」の情報も同様に検索結果に出でくることはなく、安心できます。
言うまでもなく、デジタル写真のネット投稿がはじまってまだ20年ほどですし、スマホを使って簡単にSNS投稿ができるようになったのは、まだ15年ほどのことです。
ひと昔前は、あなたの両親が、勝手にあなたの写真や情報を他人に伝える習慣も手段もなかったのです。
ところが今では、両親自身が、「自分の子供の無防備な姿」や、「成長して他人に見られると恥ずかしい写真や動画」「誕生日や病歴」などの守られるべき重要な個人情報を、無防備に投稿し拡散している例が見られます。
Instagramで「おもらし」「トイレトレーニング」といった単語で検索すると、子供達があとで絶対に人目にさらしたくないような恥ずかしい写真の投稿があまりに多いことには驚かされます。
「もしもこれが自分の写真や動画だったら、、、?」。
いかに異常なことなのか?すぐに気がつくはずです。
しかし、いったんアップした写真は、2度と削除はできません。
今の子供や赤ちゃんの写真を取り巻く「変化やリスク」
今のお子様が大人になる頃の社会はどうなっているのか?
今でも進学や就職時にネット上で個人がどう扱われているかを調べることは当たり前になりつつあります。
今のお子様方が大人になる近未来、社会のデジタル化は今では想像もできないほど拡大しているに違いありません。
おそらく、ネット上の情報は今よりはるかに多く集められて、リアルな人物像と同等に「ネット上の情報によって人が評価され信用される」時代になっているはずです。
そんな時代の到来が予見できる今、親の不用意な行動で、将来お子さまが決して望まない写真でが大切なお子様の未来に傷をつけるようなことはあってはなりません。
年々増加しているネット上の被害
ご存知の通り、今の赤ちゃんや子供は、両親の世代には考えられなかった多数の危険に囲まれています。
- 小児性愛者に写真を収集される
- 加工され、児童ポルノに悪用される
- 誘拐やストーカー行為の材料にされる
- 闇サイトに転載される。
- いじめの材料に使われる、、、
危険は写真だけではありません!
SNS、ネット上の誹謗中傷問題は国会でも議論され、社会課題として注目されています。2021年9月17日に日テレ「スッキリ」の「スッキリTOUCH~近年増加しているSNSトラブル」の第3回「言葉の暴力SNSの誹謗中傷なぜなくならない?」の[…]
写真だけでなく、個人情報にも危険はいっぱい
ネット上での断片的な個人情報や、写真、位置情報などの無数の情報を集め、パズルのようにたくさんの情報を組み合わせて推測を深めていくと、事実に近づくことができます。
このような手法を「モザイクアプローチ」と言い、特定屋とよばれる人たちが、ネット上の情報を集め、推理しながらプライバシー情報を割り出してしまいます。
赤ちゃんや子供時代の様々な情報、
「どんなくせがあった」
「どこの幼稚園や小学校に通った」
「なんのスポーツや習い事をしていた」
「親の職業は」
なとの情報は、写真と共に特定屋の格好の材料になってしまいます。
今では、このモザイクアプローチが多くの個人犯罪の温床になっていると指摘されています。
今のお子様が思春期になって、大人になった時代、ネット社会はさらに重要性を増しているはずです。
自分の写真や情報が両親によってネット上に流されていたことを知ったら、お子様はどれだけ失望し、怒るでしょうか?
ネットストーカーの被害が増えていますが、背後にはネット上の情報を集めてパズルのように組み合わせるモザイクアプローチによって個人情報を割り出す「SNS特定屋(特定班/特定厨)」の存在があります。SNSに一枚の写真を投稿するだけでどれだけの[…]
赤ちゃんやお子様の写真の正しい取り扱い方は?
「赤ちゃんや子供の写真はSNSには掲載しない」を原則とすべき
投稿前に写真の投稿が子供の将来ために本当に必要か?をじっくり考えましょう。
もちろん「赤ちゃんの誕生を友達に披露したい」まで否定するものではありません。
生後間もない赤ちゃんは身元の特定も困難ですし、大きな問題はないと思います。
しかし、赤ちゃんと言えども、あとになって肖像権問題に直結するような写真は掲載すべきではありません。
くれぐれも親の「虚栄心」や「承認欲求」を満たすために、不用意に投稿するのはやめましょう。
スタンプやイラストで顔を隠すのはOK?
「スタンプなどで顔を隠して掲載」しても、掲載した両親の情報から、特定のお子様の画像であることは容易に特定できます。
肖像権は顔だけに制限がかけられているわけではありません。
また動画ですら容易に加工できる今の状況を考えると、お子様の未来のためには、顔を隠したとしても恥ずかしい写真は掲載すべきではありません。
意図しない写真公開にも注意
公開する意図がないのに、結果として赤ちゃんやお子様の写真が公開されてしまうことがあります。
たとえば、しばしば「お子様の写真をFacebookの表紙カバー写真に使っている」例を見ますが、Facebookの表紙カバー写真は、友達以外の誰にでも公開されて見られてしまいます。
SNSには「非公開」「限定公開」で掲載する
SNSは公開だけでなく、人生を記録するライフログの役割もあります。
赤ちゃんやお子様の写真も最重要なライフログですから、記録として掲載したいこともあるでしょう。
そんな時は、投稿時に投稿の公開範囲を「非公開」または「家族や親族だけの限定公開」に切り変えましょう。
こうすれば、ライフログとして記録は残り、あとで活用できます。
それでも掲載したい場合は?
お子様の写真・動画作成の注意点
- 顔だけでなく、服装や背景にも注意・・名札、鏡や窓に映り込んでいる光景」もチェックすする。
- 制服や校門など、通園通学先が特定される写真は投稿しない。
- 写真の内容や埋め込まれている情報をチェックし、不要なときは削除する。
・・撮影した写真には「いつどこで撮影されたか」の詳細情報(Exifデータ)が撮影時に埋め込まれているので、写真をアップしたり送る前には、「場所を特定する日時や位置のデータを削除」する必要があります。
LINE、Twitter、Facebook、Instagramといった大手のSNSでは、投稿時に自動的に削除されるので安心ですが、リンクや添付などで写真を送るときは、必ずExif情報を削除してから送るようにしてください。 - 「カレンダーのメモ、郵便物、レシート、宅配便の伝票、最寄りのスーパーの袋」などの個人情報に繋がる情報の写り込みに注意。
- 動画撮影は見落としが出ないように特に注意する。
投稿文に子供の身元を特定するような情報は書かない。
- 「近くの○○」「○○の近所」とか「歩いて○分」といった居住地域が特定されるような投稿しない。
- 保育園、幼稚園、学校、塾やスポーツセンターなど、子供の居場所が特定できる話題も投稿しない。
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まとめ:
ネットの便利さの影に隠れた危険を常に考えましょう
普通の人がデジタルを使うようになってまだ20年、スマホはほんの10年ほどです。
便利さばかりが先行し、ネットの向こう側にどんな世界があるのは、私たちは本当に理解しておらず、ルールもできあがっていません、
しかし今の赤ちゃんやお子様方は、親世代より一層ネットやデジタルに囲まれた世界を生き抜くことになります。
親の間違いでお子様達の私生活や将来に傷を残してはいけません。
SNSの投稿は
- 「投稿したら最後、世界中に広がる可能性がある」
- 「検索技術により、膨大な情報の中から容易に特定される可能性がある」
ことを十分に自覚し、無断で使用されたと将来嘆かれることがないよう、お子様のプライバシーを守りましょう!
「私のスマホやパソコンがハッキング、感染しているかも、、」本当にハッキングされているか確実に調べる方法は?
ネット上のデマや悪質業者の広告を信じてはいけない!
当ブログでご説明しているとおり、スマホやパソコンに突然現れる「ハッキングやウイルスの警告」は広告目的の詐欺警告がほとんどです。
しかし、まれとは言え、時には「不正なアプリをインストールされた」「アカウントを乗っ取られた」などが原因で本当にハッキングされることもあります。
「本当にハッキングされているかも、、」とどうしても心配なときは、ハッキングやウイルス感染などの調査を行っている専門会社に調査を依頼しましょう。
しかし、ネットで調べると、ハッキング調査を探偵や興信所が行っているところが見つかりますが、パソコンやスマホのセキュリティが強化されている現在、ログ解析などのハッキング調査は高度な技術と実績を持つ専門家しかできません。
より正確な情報を安全に調べるには、ハッキング調査の専門業者に相談しましょう。
おすすめのハッキング調査会社:デジタルデータフォレンジック
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