災害や異常気象に強いデジタルデータの保管方法とは?

アナログからデジタルへ デジタル防災の方法
新型コロナの脅威そして深刻な異常気象や未曾有の災害に直面している私たちが、どうやって大切なデータや資産をデジタル化して守るべきかか?
デジタルならではのデメリットも考慮して安全に「アナログ(物の所有)からデジタルへ」の移行を進めるための具体的な方法をお教えします。
安全にデジタル化をすすめると、日常のデジタルの安全もデジタル終活も同時にすすめることができるのです。

「デジタル防災」とは?なぜ必要なのか?

地震や噴火と言った天変地異や異常気象に対処するためには、大切なデータや資産をできるだけデジタル化することが近道となります。

しかし無形のデジタルデータは以下のようなデメリットがあります。

  1. デジタルデータは「有る」か「無い」しかない。
    「津波で失われても断片が一部残る可能性がある写真のような従来のデータ」に比べて、デシタルデータは失われると永久に消えてしまいます。

  2. デジタルデータを保管する媒体が脆弱
    デジタルデータを利用、保管するためには、何らかの記憶媒体(ディスク、テープ、メモリーなど)に記録が必要ですが、多くの記憶媒体は、熱、衝撃、水などに極めて弱く、長期保存ができません。記憶媒体が破損した場合、その上のデジタルデータの消失につながります。

  3. パスワードが不明だと解読は不可能
    デジタルデータは暗号化やパスワードによって容易に秘密を守ることができますが、暗号化や開封のためのパスワードが不明な場合は一切使用できなくなってしまいます。
    パスワード不明でデジタルデータが使えない事態はしばしば発生します。
    暗号化やパスワードの解除は理論上は解読も可能ですが、急速に強化されており、非常に難しくほとんど不可能になりつつあります。

異常のような欠点を、「大地震、噴火、洪水のような被害からどうやって守るか?」か、さらに「日常のデジタル使用を安全に確実に行うか」の備えが「デジタル防災」の目的となります。

デジタルの最大の弱点「保管方法」からデジタル防災を考える

デジタルデータの保管方法を比較検討する

大切なデジタルデータや資産は、データそのものとIDとパスワードのようなアカウント情報に分かれます。

アカウント情報は容量は必要ありませんが、写真・動画と言ったデジタルデータ保管のためには、それなりのスペースが必要で、コストと安全性が大きな課題となります。

大切な写真やメールのデータはいったん失われると2度と取り戻すことはできません。またコストも無視はできません。

さらに万一の際に残された方に継承するしやすさについても考慮が必要です。

以上の考慮点を踏まえて、一覧表を作ってみました。

デジタルデータの保管場所メリット・デメリットの比較

使い勝手安全性・保管性能コスト保管に必要なスペース継承しやすさ
自分のPC内のハードディスク、SSDディスク
高速で読み書きでき快適。容量も十分。

バックアップをとっていれば○。ただし火災や天変地異の際は危ない

容量あたりの単価は最安

機器の大きさや台数による

使用のためのアカウントを伝えていなければ△
DVD、Blu-rayなどディスク媒体
読み書きは遅く、多数のデータの保存には向いていない。
△~×
保存状態にもよるが10年程度でエラー発生のリスクが高い
×
容量に比べてかなり割高。
×
かさばるし、温度や湿度管理も必要

そのまま使える。ただし漏えい防止対策がない
メモリーカード
読み書きは最速だが、容量が小さく、多くのデータは保存できない。

いきなり消失するリスクあり
×
現状は高価

一般的に小さい

そのまま使える。ただし漏えい防止対策が必要
クラウド上のオンラインストレージ○~△
使用するネットの速度に依存する。高速なネットがなければ使用できない。

サービスが継続する限り安全
◎~△
写真は無料サービスもある。動画など巨大なサイズは割高となる。

クラウド上に保管するためスペースは全く不要

使用のためのアカウントを伝えていなければ×

 

 

 

トータルでもっともバランス良いのはハードディスクに思えるが、、、

ハードディスクへの保存はコストと利便性のバランスが取れている

以上のように書き出してみると、データの記憶媒体として過去多く使われていた「DVD、Blu-rayといったディスク媒体」が保管性でもコスト面でも、大きな問題があり、現在では、ハードディスクかクラウドが最適なことがおわかりいただけるでしょう。

ハードディスクは近年低価格化が進み、14TB(テラバイト、1TBは1000GB)というような大きな容量のものも比較的低価格で入手できるようになりました。

ハードディスク以上に高速で小型と性能の高いSSDも安くなってきましたが、価格面ではハードディスクに大きなメリットがあります。

現状では、使い勝手やコストでは、ハードディスクがもっとも優位でしょう。

「安全性」「デジタル防災」の観点からのハードディスク保存の問題点

しかしデジタル防災の観点からは、ハードディスクには以下の大きな問題があります。

  • 寿命が短く、突然故障する危険がある。
    [対策]→故障に備え、複数のハードディスクを使って複製(バックアップ)を取っておくなど準備が必須
  • 衝撃や水濡れに極めて弱く、災害にあうと使用不能となる
    [対策]→設置場所の検討。複製(バックアップ)をとるなどの配慮が必要

水没や破損したハードディスクは、専門業者が持つ高度な技術で、データ復元作業を依頼するしかありません。
これには高額な費用と時間がかかりますので、一般的にはとても依頼できるものではありません。

ハードディスクは日常の作業のための一時的な保管場所としては最適ですが、長期的、最終的な保管場所には実は不向きなのです。

ベストな方法は「クラウド上のオンラインストレージ保管」

では、個人としてデジタル防災の観点からベストな方法は何でしょうか?

それは「信頼できるクラウド上のオンラインストレージに保存する」ことです。
なぜクラウドが良いのか?クラウドとは何か?について引き続きご説明していきます。

 

クラウドのオンラインストレージ保管がベストな選択の理由

クラウドってなに?

クラウドという言葉をしばしば耳にします。

クラウドとは「雲」を意味する単語ですが、デジタルの世界でのクラウドとは、インターネットを通して利用できる、「あたかも雲のような巨大なネット上のスペース」をイメージして下さい。

クラウドには、企業が独自に持っている小規模なものから、全世界でサービスを展開している大規模なものまで無数にあります。

しかし個人にとって大切なものは、明らかに全世界でサービスを展開している大規模クラウド事業者のサービスです。

信頼できる大手クラウド事業者はすでに全世界の重要データを守っている

クラウドは「分散と重複」でデータを守っている

Google、Amazon、マイクロソフトといった世界的な大手クラウド事業者は、全世界各地に無数のデータセンター(預かったデータの置き場)を設置し、それぞれを何重にもわたって相互接続し、データを1個所ではなく分散して保管するようにしています。

仮にどこかの地域で大きな災害があり、データセンターが機能しなくなったとしても、世界の他の地域のデータで補完されるためデータが失われる可能性は「0」と言って良いでしょう。

事実、今まで世界的な大手クラウドでデータが消えてしまった事故は起きていません。

すでに日本政府のデータもクラウド上

世界の多くのサービスだけでなく、今や政府のデータもこれらの世界的大手クラウド事業者に預けられています。

取り組みが遅れていた日本政府も「今秋からスタートするIT(情報技術)システムのクラウド化をめぐり、人事・給与や文書管理など各省共通の基盤システムを米アマゾン・ドット・コム傘下のクラウド企業に発注する調整に入った」と発表がありました。
「クラウド業界で世界最大手の同社がコストやサービスの質で優れていると判断した」とのことです。

世界的大手クラウドは完全に社会の基本インフラとなっているのです。

海外の大手クラウドなら国内で大災害があっても安全

こと災害に対する安全性で見るならば、国内で運営しているクラウド事業者より、全世界レベルで運営しているクラウド事業者の方がリスクが分散されているため、確実に安全性は高いでしょう

ほとんどのオンラインサービスも大手クラウドの上で運営されている

現在、ゲームから決済サービスまで、無数のオンラインサービスが広まっていますが、実はこれらのサービスのほとんどは、大手の世界的なクラウド事業者の基盤の上でサービス展開されています。

そのおかけで、クラウドの発展に伴うように、低コストで、安全なサービスが広まってきました。

今や世界的大手クラウドがなければ、何もできません。
それだけにクラウドには高い技術と信頼性が求められています。

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クラウドサービスの安全性のイメージイラスト

クラウド上に保存場所を提供してくれる「オンラインストレージ」

Googleやマイクロソフト、Amazonと言った世界的なIT企業が、大規模なクラウドを運営しています。

このクラウド上のスペースを借りて、自分のデータの置き場(ストレージ=Storage)として使うことを、オンラインストレージと言います。

個人でも使いやすい、有名なオンラインストレージには以下のようなものがあります

Googleドライブ(Google)、Oneドライブ(マイクロソフト)、iCloud(Apple)、ドロップボックス(Dropbox)

 

クラウドにデータを保管する具体的な方法

たとえば写真やアルバムは?

今やスマホやデジカメで撮った写真を、GoogleフォトやiCloudなどのクラウド上の写真管理サービスにアップロードすることは普通でしょう。

私がお薦めするのは、古い写真やアルバムをすべてデジタル化することです。

私自身も数年かけて、手持ちの写真をすべてデジタル化しました。

古い写真はどんどん変色し薄くなってしまいます。このままでは数年のうちに消えてしまいます。
そこで専門業者に依頼し、デシタル化と共に色の補正も依頼しました。

戻ってきたデジタル化した写真はそのままGoogleフォトにアップしてしまいました。

こうしてすっかり見やすくなったアルバムや写真は、親戚や友人にも容易に共有できるようになり、アルバムの中でずっと見られること無く死蔵されていた写真がすっかり息を吹き返しました

なお枚数が多い場合は家庭用にスキャナーでは大変な作業になります。

スキャン代行業者を使うことをお薦めします。

CDや古いテープ、レコードは?

CDはパソコンで取り込んですべてデジタル化しました。
この作業をリッピングと言います。

元々デジタル化されている CDのリッピングは参考情報も多く、ソフトも充実していますので、比較的容易です。

テープやレコードなどアナログの媒体は、アナログからデジタルへの変換してパソコンに取り込む作業が必要です。

このためにパソコンに接続するオーディオインターフェイスと呼ばれる機器が必要となりますが、比較的安価で操作も簡単です。

以下のような安価で優秀なオーディオインターフェイスが発売されています。

 

重たい本や雑誌の山は? 私の体験

近年は電子書籍も増えてきました。
新刊はできるだけ電子書籍を買うことにしていますが、溜まった本や雑誌をどうデジタル化するかが問題です。

私は本や雑誌を裁断し、スキャナーでPDF化することを進めました

思い切って裁断機で分解して、スキャナーでPDF化しました。
以下のような2~5万円程度の定評あるドキュメントスキャナーが一台あれば比較的簡単な作業です。

できあがったPDFは「検査機可能な形式」で保存し、すべてGoogleドライブに保管しています。

いつでもどこでも見られるだけでなく、場所も取らず、検索していつでも取り出すことができ、災害にあってもデータが失われることはありません。

詳細は下記の記事もご参照ください。

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オンラインデジタル終活支援サービス「Digital Keeper」のおすすめ

確実にデジタル終活を実現する最もおすすめな方法は、セキュアにデジタル終活を実現するオンラインサービスに加入されることです。
当社が展開しているDigital Keeperは2019年よりサービスしているオンラインサービスです。

あなたのお元気な活動を見守り、万一の際は、ご指定の方にあなたのメッセージと共に大切なデジタル終活情報をお届けします。

ぜひご検討下さい。

 

 

 

まとめ:
デジタル化を完了しておけばリュックひとつで逃げ出しても安心

大切なデジタル資産を保管したサービスのアカウント情報は、パスワードなど万全の安全対策を施しきちんと管理することは当然です。

銀行や金融資産の情報は元よりオンラインになっていますので、大切なデータさえデジタル化してしまえば、生活に必要なかなり物はデジタル化、オンライン化ができてしまい、リュックサックひとつで逃げ出しても、失うことはありません

また結果としてデジタル終活も完成し、私に何かあったときも家族に継承できるでしょう。

こうしておくことで、仮に災害で身の回りの物をすべて失ったとしても、貴重なデジタル遺品やデジタル遺産はしっかりと残るのです。